· 

【緊急事態宣言】~新型コロナウイルス~

2020年4月7日、安倍晋三首相は、新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、「緊急事態宣言」を発令した。これは私権制限を含む措置を可能にするものです。どんなものなのかゆっくり解説していきましょう。

 

緊急事態宣言とは

今回の4月7日に出された緊急事態宣言は、3月に成立した改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づいて政府が発令する宣言です。

発令すると、その対象地域は、知事の要請のよって住民に対し、外出自粛などの制限を加えることができます。

 

宣言の効力は5月6日までです。

 

そのため、この宣言の発令をもって、すぐに具体的に措置が行われるわけではなく、この発令応じて都道府県知事がこの法令に基づき具体的な措置を講じることになるということです。

 

また、アメリカなどの諸外国にみられるような道路封鎖などによる都市封鎖(ロックダウン)については、この法律による宣言ではできません。

対象地域

4月7日時点で発令対象となった都道府県は以下のとおりです。

 

・東京都

神奈川県

・埼玉県

・千葉県

・大阪府

・兵庫県

・福岡県

 

(コロナ感染で拡がりを見せた愛知県や北海道などは今回対象外ですが、独自の発令をしているところもあります。)


※4月17日現在上記の地域のほか、全国まで対象になっています。

緊急事態宣言のポイント

◆外出自粛の要請

「生活の維持に必要な場合を除き、みだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと」を、知事は期間と区域を決めて住民に要請できます。

 

旅行や遊びに出かけるといったことを、住民各自が自粛する必要があるということです。これによって感染の拡大を防止し、また感染経路を明確にしていくことが可能になると思われます。また、政府は、7都府県から地方への退避を控えるよう訴えています。要請に応じなかった罰則はありません。

 

 

◆学校、社会福祉施設、イベント会場の使用制限

学校、社会福祉施設、映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸などの施設の管理者に対して、都道府県知事は、施設の使用制限・停止を要請できます。また、イベントの主催者にイベント開催の制限・停止を要請できます。

 

大勢の住民が集まる場所では感染の拡大に繋がるため、その会場施設の管理者に対し制限されることになります。また大勢の住民を集めるイベントも同様ということです。要請に応じなかった罰則はありません。

 

 

◆臨時医療施設のための土地使用

臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋または物資を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者および占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。また、正当な理由がないのに同意をしないとき、同意を得ないで、土地等を使用することができる。

 

現在医療崩壊の可能性もある中で、医療の確保を最優先にする場合もこれから出てくる可能性があります。その場合、都道府県が住民の財産を制限して、医療として使用することが可能になります。

 

 

◆医薬品や食品など物資の売渡しの要請

都道府県知事は、緊急事態措置の実施に必要な物資(医薬品、食品その他の政令で定める物資に限る)であって生産、集荷、販売、配給、保管または輸送を業とする者が取り扱うものについて、その所有者に対し特定物資の売渡しを要請することができる。正当な理由がないのに要請に応じないときは、特定物資を収用することができる。

 

現在マスクや消毒液などが不足しています。この宣言によって、そういった緊急で必要になる医薬品などを都道府県が買い取ります。

 

 

◆生活関連物資等の価格の安定

指定行政機関の長らは、国民生活との関連性が高い物資などが価格の高騰や供給不足が生じたり、生じる恐れがあるときは、法令の規定に基づく措置などを講じなければならない。

 

現在はマスクや消毒液などの価格が高騰しています。最近ではマスクの高価格での転売も禁止となりました。あくまでも感染拡大を予防するためであるので、誰かが買い占めてもよいというものではありません。また、それをもって経済的利益を得ることもあってはならないこと示唆しています。

 

 

 

◆「三つの密」の回避を要請

 

三つの密とは、「密閉」、「密集」、「密接」のことを言います。今回の指定された都道府県以外の地域でも、三つの密の回避を要請されています。

・「密閉」された空間に入らない

・人々が「密集」している場所には行かない

・人と人との間に距離を取り「密接」しない。おおよそ両腕を広げて伸ばして、ぶつからない程度のことをいいます。